東京も「移住の権利が生ずる」放射線量に 東京電力・福島第1原発事故(第203信)


すでに「取り返しのつかぬ今」を
もはや「取り返しのつかぬまま」見据えながら、
それでもなお、あの愚者たちに殺されないために……


東京も「移住の権利が生ずる」放射線量に

——山口泉・デュッセルドルフ講演『福島原発事故と、その現状——核破滅ファシズムの国・日本から、残された世界を防衛するために』〔5〕





 空間線量について見ると、どうでしょうか。

 〔画像、示す〕

 これらは、いずれも昨年10月と12月に東京都内で計測したものです。インスペクターを使っています。

 〔画像、示す〕

 これは東京の中心部の日本橋で、0.263μSv/hが計測されています。

 〔画像、示す〕

 これは東京南部の住宅街で0.239μSv/hです。
 これらの数値の意味をこの後すぐにご説明します。

 〔画像、示す〕

 これは東京都内の主要駅の一つである品川駅で測ったもので、掃除がされているせいか、やや数値が低く出ておりますが、それでも0.137μSv/hです。

 〔画像、示す〕

 これはその品川駅の構内で、0.134μSv/hです。2012年12月に測定しました。

 さて、チェルノブイリ原発事故の後、1991年にウクライナ・ベラルーシ・ロシアで制定された年間被曝量基準は、1mSv~5mSvまでの範囲が「移住の権利が生じる」線量帯になっています。
 その移住の権利が生じる年間1mSvというのは、どういう数値か? それを1時間当たりに換算すると、0.114μSv/hなんですね。
 つまり、今の東京はいたる所で、チェルノブイリ基準における「移住の権利が生じる」それを上回る数値が簡単に計測される、ということです。

 福島の線量がもっと高いことは、もう当然、言うまでもありません。
 にもかかわらず、日本政府も福島県も、何もしない。いっこうに子どもたちを福島から避難させようという気配はありません。

 第二次世界大戦の末期、連日、日本の各都市がアメリカ軍のB29戦略爆撃機による空襲にさらされていた時期――これは非常に狂信的な、天皇制軍国主義の時代でしたけれども――その時代ですらなお、子どもたちだけは安全な地方に「疎開」させようということが行なわれていました。

 ところが、現在の日本政府や、福島県をはじめとする東日本の各自治体は、それすらしないわけです。逆に、子どもたちに「ガラスバッジ」と呼ばれる携帯用の積算線量計を持たせて、しかもそれを回収した後、その数値を本人には知らせない、そのままデータとして集めるというだけのことを行なっている。
 まさに、さっきのカレンダーと同じ、子どもを「検体」として扱っているわけです。

                         〔以下、続稿〕


 
【付 記】

〔2013年1月18日/
 ドイツ、ノルトライン・ヴェストファーレン州デュッセルドルフ市、バッハ・シュトラーセ145、ビュルゲンハオス・ビルクにて〕

  ドイツ語通訳:巽レリ玲子 
  文字起こし:鈴木昌司
    (IWJサイト http://iwj.co.jp/wj/open/archives/54301 より) 
  文字起こし監修:山口泉(Copyright)








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by uzumi-chan | 2013-09-25 23:22 | 東京電力・福島第1原発事故

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