まさに「先行自白」そのものの菅直人談話 東京電力・福島第1原発事故(第135信)


すでに「取り返しのつかぬ今」を
もはや「取り返しのつかぬまま」見据えながら、
それでもなお、あの愚者たちに殺されないために――


まさに「先行自白」そのものの菅直人談話





 本項は、簡略に済ませたい。
 そうでもしないと、やりきれないからだ。

 本来、当ブログ〔東京電力・福島第1原発事故〕カテゴリでも、『菅直人・枝野幸男政権、11(か、それ以上)の大罪』〔後篇〕として8番目から11番目までの罪状を糾弾しておく作業がまだ残っている。
 だが、それを仕上げるよりも先に——前内閣総理大臣・菅直人自身が、本日、以下のようなインタヴュー対応を公然としていることが明らかとなった。

 とりあえず、その——共同通信配信のニュースを引く。

 《原発事故、首都圏も避難対象 菅氏、最悪予測で3千万人
 菅直人前首相は18日までに共同通信のインタビューに応じ、3月11日の東京電力福島第1原発事故発生を受け、事故がどう進行するか予測するよう複数の機関に求め、最悪のケースでは東京を含む首都圏の3千万人も避難対象になるとの結果を得ていたことを明らかにした。発生直後には、現場の第1原発の担当者と意思疎通できないなど対応が困難を極めたことを強調した。》

 (共同通信 電子版/2011年9月18日 16時09分 2011年9月18日 16時51分 更新)
  http://www.excite.co.jp/News/politics_g/20110918/Kyodo_OT_MN2011091801000330.html



 これが、ついこあいだまで内閣総理大臣の職にあった人物の発言である。
 ご丁寧に、在任中に輪をかけてのだらしない間抜け面で、身振り手振りよろしくしゃべっている写真(於・院第1議員会館)つきで。

 先般の辞任後、自らの在任中の東京電力・福島第1原発事故への対処をめぐって、「今だから明かす」風の奇怪な弁解——自己免罪の言い訳をマスメディアを通じて垂れ流し始めていた菅直人であるが、本日のこれはその集大成というより、さらに1歩も2歩も踏み込んだ、まさしく「 先行自白」の集大成そのものというべきだろう。

 (一体、この男は……自分が何をしゃべっているか、それを自覚しているのか?)

 辞めたとたん、公然とこうした「内幕話」を得得とする。
 もちろん当時から、皆、見当はついていたことだ。

 しかし、それにしても——たかが1内閣総理大臣に、こうして、数千万の人びとの生命を玩(もてあそ)ぶ権限があったのか。
 いつ、誰が、そんなことを許した? 

 あの「3・11」以降、何よりすべきは、精確な情報公開だったはずだ。
 そして、それを受けてどう判断するかは、あくまで私たち一人一人の問題である。
 国民の生殺与奪の権を、内閣総理大臣は握っているのか? 

  実際には、むろん日本国民以外も、それら被曝者のなかには含まれていた。


 スピーディ SPEEDI (=System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information = 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)のデータすら公表せず、全御用マスコミを総動員して「安全」「安心」デマを洪水のごとく流しつづけ、福島の子どもたちを為す術もなく被曝させつづけ……。

 しかも、ともに国民に情報を遮断しつづけた片割れ——最大「共犯者」の官房長官・枝野幸男は、またしても経済産業大臣となって、平然と内閣に復帰している。

 菅直人、枝野幸男はじめ、上記・御用マスコミを含め、この半年間、この国に生きざるを得ない——とりわけ東日本の人びとを欺き、被曝させつづけてきた者たちは、もはや明白に法的処罰の対象ではないか? 

 (もしも私の言葉が腑に落ちない、と言われる方がいるとするなら——いま一度、前掲の共同通信記事をよくお読みいただきたい。
 ここで菅は、内閣総理大臣として絶対に許されない罪状を、それと自覚すらしていないらしいまま、自ら平然と述べ立てているのだ。
 この菅直人の発言に対し、人は、どんなに憤っても憤りすぎることはない)

 『菅直人・枝野幸男政権、11(か、それ以上)の大罪』の〔後篇〕で触れるつもりであるが、「しかし自民党政権だったらどうなっていたか?」という仮説は、この場合、まったく意味を成さない。
 なぜなら、菅直人・枝野幸男らは、その情報すら知らせないまま、人びとにこれだけの被曝をさせた「既遂犯」であり「実行犯」であるからだ。


 ——ただし、それでは一方の野党第1党が、現在、どのような水準の精神によって担われているかについても、一応、付言しておこう。

 《自民・石破氏 「核攻撃を受けたら核開発」発言の真意を語る》(2011年9月15日 07時00分) ※ 出典は『SAPIO』2011年10月5日号
  http://www.excite.co.jp/News/world_g/20110915/Postseven_30949.html



 詳細は、上掲のサイトに当たっていただくとして……こういう思考の持ち主が「防衛大臣」をしていたのが、自民党政権だった。
 さらに、こうしたメンタリティの淵源(えんげん)は、当ブログ〔東京電力・福島第1原発事故〕第134信《いくらなんでもひどすぎるNHK『ニュースウオッチ9』》で詳細に批判した中曽根康弘まで、とりあえず遡っても良いだろう。

 だからこそ、一昨年の夏、鳩山民主党政権は巨きな期待をもって迎えられたのだ。
 3・11以後の状況がここまでひどくとも、いまになって自民党政権に戻ると、どれほど恐ろしいことになるか。

 (何度も述べているとおり、私は鳩山由紀夫の政権の投げ出し方が、すべての誤りの始まりだったと考えているが——)

 ほんとうに、絶望的な国としか、言いようがない。






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by uzumi-chan | 2011-09-19 00:50 | 東京電力・福島第1原発事故

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