7月10日(日)に、久びさの都内イヴェント開催 絵本『さだ子と千羽づる』(第2信)


すでに「取り返しのつかぬ今」を
もはや「取り返しのつかぬまま」見据えながら、
それでもなお、あの愚者たちに殺されないために……


7月10日(日)に、久びさの都内イヴェント開催



 1994年の日本語版の刊行以来、8月初旬の広島では17年間にわたり、続けている絵本『さだ子と千羽づる』の朗読会だが、諸般の状況に鑑み、今年は18回目の広島でのそれに先立って、7月10日(日)の午後、久しぶりに東京都内でも、同絵本の朗読会とシンポジウム、および関連企画を、下記のとおり、行なうこととなった。

 私を含め、近年の広島での野外朗読会を担っているNPO「オーロラ自由会議」のメンバーはむろんのこと、今回は〔絵本『さだ子と千羽づる』〕第1信《野外朗読会の動画を初めてアップロード》でも取り上げている、絵本『さだ子と千羽づる』(日本語版初版・1994年/朝鮮語版・95年/英語版・96年、いずれもオーロラ自由アトリエ刊)の著者・SHANTI(シャンティ=絵本を通して平和を考えるフェリス女学院大学学生有志)代表の湯浅佳子(ゆあさ・けいこ)さんと川尾路子(かわお・みちこ)さんも参加の予定である。

 言うまでもなく、今回の企画の主たる趣旨は、東京電力・福島第1原発事故という事態を受けてのものだ。
 政府と私企業との未必の故意による空前の核暴力のなか、とりわけその渦中で最も深刻な核被害を受ける子どもたちの置かれた状況を打開するための、情報共有・共同作業の実現を図ることは、いま、この国に生きざるを得ない者としての急務であろう。

 ただそれと同時に、私自身は、反核・平和活動すら、一方で、根深い“戦後民主主義”的功利主義Utilitarianism に、また一方では、政治や宗教に蟠踞(ばんきょ)する臆面もない党派性に搦(から)め捕られ、個個人の主体的な倫理というものを欠いている、この日本の精神風土に対する、変わることのない異議を改めて提示する場ともしたいと考えている。

 当日の朗読会では、毎年8月4日から6日にかけ、広島・平和記念公園「原爆の子」の像の前で続けている朗読会と同様、私はチェロ伴奏を担当する。
 (今回の場合は屋内の会場ということで、酷暑の炎天下での広島の場合と異なり、チェロはメイン器を、弓もファースト・ボウを持参するつもりである)

 また当日は、現在、鍼灸師としても活躍する湯浅佳子さんにより、身近な器具を利用して子どもたちの心身を癒す「スキン・タッチ」の手技のワークショップも開催される。


 すでに当ブログの他の項でも書いているが、絵本『さだ子と千羽づる』に関しては、1994年の初版刊行よりはるか前——前年の企画段階に遡る時期から、重要な前史があり、また朝鮮語版・英語版の刊行を経て、現在にいたるまで、夥しいエピソードが蓄積され続けている。
 と同時に、その本文をはじめとする各種テキスト、絵に関しても、そこに込めたものの意味は極めて重層的であり、多岐にわたっている。
 そうした絵本『さだ子と千羽づる』をめぐる諸相についても、「現在完了進行形」の物語として、今後、当ブログにおいては、少しずつ記してゆきたい。

 なお、今年もまた8月4日(木)の午後から6日(土)の夜にかけての、広島・平和記念公園「原爆の子」の像の前での絵本『さだ子と千羽づる』の野外朗読会も、例年どおり開催することとしている。
 こちらについても、また当ブログでも御案内するつもりである。

 ちなみに、絵本『さだ子と千羽づる』と、その朗読会については、当ブログ〔絵本『さだ子と千羽づる』〕第1信《野外朗読会の動画を初めてアップロード》を、また湯浅佳子さんについては、同〔東京電力・福島第1原発事故〕第96信《ほんとうは、はるかに高い放射線値》をも、併せて御参照いただきたい。

   ……………………………………………………………………

 《緊急・朗読会とシンポジウム》
 ヒロシマからフクシマへ——子どもたちのために、すべての核の廃絶を! 

 と き 2011年7月10日(日)14時〜16時半
 ところ 目黒区民センター第4研修室
     (目黒区目黒2-4-36)JR山手線・東急目黒線 目黒駅から徒歩10分
     電話 03-3711-1121(代表) 
 絵本『さだ子と千羽づる』朗読(山口泉によるチェロ伴奏付き)
 シンポジウム/絵本『さだ子と千羽づる』に込めたもの
   湯浅佳子(絵本を通して平和を考える会SHANTI代表・鍼灸師)
   山口泉(作家)
   遠藤京子(オーロラ自由アトリエ)
 子どもたちの心と体を癒す「スキン・タッチ」ワークショップ(先着20組まで)

 入場無料

 
主 催/
 NPOオーロラ自由会議  http://npokaigi.exblog.jp/
 絵本を通して平和を考える会SHANTI http://shanti-pax-peace.jimdo.com/
 スキンタッチ教室・よこはま有志 http://yokohama-skintouch.jimdo.com/
 後 援/オーロラ自由アトリエ 自然食品の店「あらいぐま」
 問い合わせ先/ 03-3792-9651 045-320-2277 080-4141-7877(当日)





当ブログのすべての内容の著作権は、山口泉に帰属します。
当ブログの記事を引用・転載されるのは御自由ですが、出典が当ブログであることを明記してください。
当ブログの記事を引用・転載された場合、ないしは当ブログへのリンクを貼られた場合、お差し支えなければ、その旨、山口泉まで御一報いただけますと幸いです。

山口泉ウェブサイト『魂の連邦共和国へむけて』は、こちらです。
  http://www.jca.apc.org/~izm/

by uzumi-chan | 2011-06-16 19:54 | 絵本『さだ子と千羽づる』

作家・山口泉のブログです。


by uzumi-chan