近況報告——2012年3月3日 日 録(第14信)


帯電した、巨きな雲がうごくように……

近況報告——2012年3月3日






 最後の、この半月余りは、ほとんどMacintoshコンピュータ群と、その隣の校正刷を重ねた机とのあいだのみを往復し、仕事部屋の長椅子で寝起きして進めてきた、新著の〝ポスト「フクシマ」論集〟の入稿準備、本文・装幀とも、ようやく、ほぼ終わりが見えてきつつあります。
 (この作業のため、ブログの更新も、ウェブサイトの更新も、ツイッター上の発信も、完全凍結中で、毎日、アクセスしてくださっていた皆さんにも、はなはだ申し訳なかったのですが……)

 一時は900ページをはるかに超え、1000ベージに近づいていた内容も、350枚以上の書き下ろしを含め、最終的に四六判2段組・550ページに収まりました。
 編集者・出版社の驚異的な尽力により、なんとか今月中旬の刊行が実現しそうな見込みです。

 東京電力・福島第1原発事故以後という——現在の日本に生きざるを得ない者の一人として、いま私が、この国と世界に向け、書き置きたかった基本的な事柄の90%以上、問題によっては115%〜120%まで、出すことができたかと考えています。
 昨年3月11日以来、私が自分自身に課し、同時に私自身の支えでもあった務めを、なんとか果たせるかもしれないという気はします。

 1点だけ、確実に言えることは、おそらくいま莫大な「量」が市場に流通しはじめているにちがいない「フクシマ」関連の書籍のなかで、この本は——さまざまな意味で——まったく隔絶した存在であるだろうということです。
 これだけは間違いのない、私が東京電力・福島第1原発事故を基点として書くという行為の、宿命的責任の結果であると、私自身は位置づけています。

 それに抵抗感や拒絶感を覚える方も、当然おられるでしょう。
 しかし、私の意とするところに共感し、それを共有してくださる方もおられることを、私は認識しています。

 いずれにせよ、現状の日本の「制度圏」ジャーナリズムや論壇のいかなる範疇にも収まらない、そのなかにいる人びとにとっては、こんな「本」を想像することもできない……という次元の書物にはなっていると思います。

 現在、三校の最終引き合わせ中ですが、厖大な校正刷に埋もれている状態も、あと数日で終わるでしょう。
 ページ数の関係からも——残念ながら——必ずしも安価な本にはならないのですが、それでも、できるだけ多くの皆さんに手にしていただきやすいよう、その面でも鋭意検討中です。

 詳細につきましては、また刊行が近づきましたら、お知らせします。






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by uzumi-chan | 2012-03-03 15:40 | 【B】帯電した、巨きな雲が……

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