歴史的英断を重ねる城南信用金庫に、さらに支持と連帯を 東京電力・福島第1原発事故(第175信)


すでに「取り返しのつかぬ今」を
もはや「取り返しのつかぬまま」見据えながら、
それでもなお、あの愚者たちに殺されないために――


歴史的英断を重ねる城南信用金庫に、さらに支持と連帯を






 なんと凄い企業なのだろう。
 それが、しかも金融機関であるとは——。

 以前、当ブログ〔東京電力・福島第1原発事故〕第59信《城南信用金庫に支持と連帯を》においても、その、私企業としては空前の「脱原発」の革新的姿勢を評価した城南信用金庫が、12月2日、さらに歴史的な英断を下した。

「脱原発」の城南信金、東電と年内で電力契約解除 新規事業者に切り替え
 信用金庫大手の城南信用金庫(東京・品川)は2日、東京電力から電力を購入する契約を年内いっぱいで解除すると発表した。東電福島第1原子力発電所の事故を踏まえた「脱原発」の取り組みの一環。来年1月以降は、天然ガスなどで発電する新規電力事業者のエネット(東京・港)から電力を購入する。
 全85店舗のうち、入居するビルなどの制約がない77店舗で契約を切り替える。年間の電気料金は現在約2億円だが、1000万円程度の削減効果が見込めるという。
 NTTファシリティーズと東京ガス、大阪ガスが出資するエネットは、ガス会社の天然ガス発電や太陽光発電、民間企業の自家発電の余剰電力などを調達して販売している。》

  (『日本経済新聞』電子版/2011年12月2日 20:31)
  http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819591E2E0E2E3858DE2E0E3E0E0E2E3E39797E3E2E2E2



 こうした記事を、このかん「原発」に関しても「TPP」問題に関しても、少なからず疑問を感ずる記事の少なくなかった新聞すら、掲載せざる得ないことにも思うところがある。
 ともかく、ここに報道されているのは「破天荒」の快挙である。

 早速、城南信用金庫自身の声明を検索してみた。


            平成23年12月2日
「原発に頼らない安心できる社会」実現のため
原発を使わない電力会社への契約切換を実施


               城南信用金庫

 当金庫は、「原発に頼らない安心できる社会」の実現に向けて、自ら省電力、省エネルギーに取組むとともに、金融を通じて、地域の皆様の省電力や省エネルギーのための設備投資を積極的に支援、推進してきました。
 今般、その一環として、当金庫の本店および各営業店で使用している電力について、原子力発電を推進する「東京電力」との契約を解除し、原発に頼らず、自然エネルギーや民間の余剰電力を購入し販売している「エネット」(NTTファシリティーズ、東京ガス、大阪ガスの子会社であるPPS)との契約に、全面的に切換えました。
 仮に、当金庫と同じように、各企業などがPPSへの切換えを推進し、我が国全体のPPSによる電力供給が増えれば、
 (1)東京電力などが主張している今後の電力不足が解消される
 (2)原発を使わない電力の供給が増え、原発維持の必要性が無くなる
  ため、「原発に頼らない安心できる社会」が確実に実現できます。
 当金庫では、今後、こうした動きを各方面に訴え、賛同者を広げることにより、「国民経済の健全な発展」と「原発に頼らない安心できる社会の早期実現」を両立させるため、全力で取組んでまいります。
                  以 上

(参考)既に、多くの官公庁や民間金融機関にも、PPSの電力が供給されています。中小企業、工場、ビル、マンション、学校等、多くの設備が対象となります。 政府も、企業による自家発電設備の利用や、新規参入電力会社による卸売り販売を推進しています。


 (http://www.jsbank.co.jp/news/to_nen/power_company.pdf


 なんという格調高い、簡潔な勇気に満ちた文章だろう。

 《原子力発電を推進する「東京電力」との契約を解除し》——。

 ああ。
 先日の沖縄防衛局長・田中聡の暴言をスクープした『琉球新報』1面トップの記事と同様、これは2011年という絶望的状況下の日本で書かれた歴史的名文として、永く記憶されるに値するものだ。

 《 東京電力などが主張している今後の電力不足が解消される》
 《 原発を使わない電力の供給が増え、原発維持の必要性が無くなる》
……。

 いずれ、当ブログでも詳述するつもりであるが、「反原発」の闘いは、遺伝子組み換え企業による「食糧」独占との闘いと並んで、この“ポスト・モダン”ハイパー資本主義の世界における、最大にして、かつ最も切実な必要性・緊急性に満ちた闘いである。
 それを1信用金庫が、ここまでその全存在を賭けて、しかも淡淡と、持続的に展開しているとは——。

 都市銀行資本が直截に原発メーカーと結びついている現在、この金融機関に、それが可能な人びとの預金が寄せられることを切望する。

 城南信用金庫が存在することは、まぎれもなく今日の日本における「希望」の1つである。






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by uzumi-chan | 2011-12-04 07:24 | 東京電力・福島第1原発事故

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