そして菅内閣は「真の政府」東京電力の利権擁護機関か? 東京電力・福島第1原発事故(第20信)


すでに「取り返しのつかぬ今」を
もはや「取り返しのつかぬまま」見据えながら、
それでもなお、あの愚者たちに殺されないために……


そして菅内閣は「真の政府」東京電力の利権擁護機関か?

 
 しかも呆れ果てたことに、すでに早くも、この悪徳企業への「救済」措置は始まろうとしているらしいのだ。いまだ1基の原発の放射線漏れすら止まっていないという現在の時点で、これだけは——さも、当然のことのように。

 本日・3月29日ロイター電に引かれた同日『讀売新聞』情報によれば、《福島第一原発の事故で巨額の賠償責任が発生すると見込まれる東京電力について、事実上、国有化して再建する案が政府内で浮上して》おり、その意図するところは《原発事故にともなう賠償が巨額になっても国などが東電の株式の過半を取得し、経営を支えることで賠償責任を果たせるようにする》ことだという。
 共同通信ニュース(2011年3月29日 15時03分 更新)によれば、玄葉光一郎・国家戦略担当相なる閣僚が、そう答弁しているようだ。

  http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20110329/Kyodo_OT_MN2011032901000462.html

 (それにしても「国家戦略担当」とはまた、なんと幼稚、かつ粗雑な名称であることか……。口にするのも気恥ずかしい“アニメオタク”ぶりである。日本は、一応まだ「憲法9条」も形ばかりは生きているはずの国ではないのか? その国で、政府が省庁ポストにこんな命名をすることに、なんの躊躇いもないのか?
 ——ちなみに、TPPを「環太平洋戦略的経済連携協定」と訳したがる志向も同様だが、TPPはせいぜい「環太平洋連携協定」にすぎず、どうしても「環太平洋戦略的経済連携協定」としたいなら、長い方のTPSEPA=Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement=を用いるべきだろう。
 「戦略」など、「薬にしたくとも」ないくせに、口先だけ「戦略」を濫発したがる“アニメオタク”“軍事オタク”たち——)
 
 ともあれ、今回の論議はあまりにも臆面もない。
 私がさんざん言ってきた東京電力の接収を、「一時国有化」などという曖昧なやり方でやり過ごし、またぞろ新たな天下りと利権の装置に作り替え、それどころか、あわよくば原発推進政策すら温存しようというつもりなのか? 
 現場従業員の雇用は極力、保障するとしても、最低限、企業資産と現役員全員の有価資産を没収し、それでも到底、追いつかない、東北地域を初めとする全・原発事故被害者への補償の一助とすべきではないか。

 その上で、かくも犯罪的な体質を完膚無きまでに一掃すべく、かつて自民党政権が行なってきたのと完全に逆の道——国鉄や電話事業や郵政やを「民営化」してきた誤りとは逆の、真に国民のための「国営化」を徹底させ、二度と「原子力発電」の迷妄に縋らぬ、現存の火力・水力発電に加え、風力発電・太陽光発電・波動発電・地熱発電の可能性を早急に検討、実現してゆくべきではないのか? 
 
 この問題に関しては、たとえば田中優氏による提言がある。
 私自身、その主張の全般をただちに首肯するものではないにせよ、最悪の事態のさなかにおける「希望」的構想として……また少なくとも、東京電力・政府・経済産業省・御用学者・御用ジャーナリズムによって、今後とも繰り返し持ち出されることが容易に予想される「電力不足」恫喝プロパガンダへのアンチテーゼとして——傾聴に値しよう。

 また本稿で後述するように、昨今、「公共広告機構」その他を中心に早くも始まっている「欲しがりません、勝つまでは」的ファシズムに保守大衆層が急速に染め上げられつつある現状への反証としての意味も少なくない。

 (すでにインターネットでは広く視聴されている内容であると思われるものの、念のため、下記にURLを記しておく)

  http://www.ustream.tv/recorded/13373990

 現状、出ている「東京電力の一時国有化」案のごときは、むしろ「巨額の賠償金」を国が——すなわち国民の税金で——肩代わりしてやるための措置としか思われない。あまりにも見え透いた癒着ぶりである。

 いまや、東京電力が「日本政府」か? 
 そして元・日本政府は、その利権擁護機関か? 


 さっさと“休眠中”の火力発電所を再開すべきものを、「計画停電」などという見え透いた撹乱工作で、福島原発で進行し続けている終末的危機から目をそらさせ、これこそまったく無用の社会不安を招き、「原発がないとこうなりますよ」と言いたげな当然の原発反対輿論を封じ込めようとし、揚げ句の果てには“国民的御用タレント”たちを糾合した、おぞましい「公共広告機構」キャンペーンで、科学的根拠を曖昧にしたままの「耐乏生活」プロパガンダを垂れ流す。

 このかん、いよいよ顕著な、政府・東京電力・マスメディア一体となってのなりふり構わぬ輿論操作は、地震・津波の被災者の苦しみの「政治利用」という点で、人間性への、まさしく最悪の侮辱であろう。






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by uzumi-chan | 2011-03-29 18:54 | 東京電力・福島第1原発事故

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